2. 不変なもの、永遠に続くもの:


     ・・・・・  「初めに ことばがあった。 ことばは神と共にあった。 ことばは 神であった。」(ヨハネ1:1)


  (1) 自然対数の底 e の定義:  (→ (参考) 数学思索の構造 2.自然対数の底 e の定義

     ・・・ は その名のとおり、”自然”対数の底(てい)。 ”名”は本質をあらわします(*)。 指数関数 ( exp x とも表記)の逆関数は ”対数関数”で、(数学ではそのまま)log x、 (物理・工学では 常用対数 log10x と区別されるために) ln x と表記されます。これは、自然を描写するのにあまりにも普遍的に用いられるので、このように省略されます。
   ・・・ ”自然対数”の”底”についての指数関数 という、”バカボン”の”パパ”的な 命名法!これで のだ! 「」についても、「アブラハム、イサク、ヤコブの神」と言う。


  では、自然対数の底 e の 一般的な定義から、その素性を調べてみましょう。(* 解析学は、”変化”の思索です)
  定義式は、    です。 この左辺( lim n→∞ は、n が無限大になるまでの極限(limit)にもっていく という意味)に、自然数 n = 1、2、3、・・・ を代入して、

      n       1     2      3  ・・・    10     100      1000     10000  ・・・          ∞  
   2  2.25  2.370
・・・
・・・ 2.5937
・・・
2.70481
・・・
2.7169239
・・・
2.7181459
26・・・
・・・ 2.718281828
45904523536
0287471352・・・

  このように、n が大きくなると、無限に続くある一定の値(2.718281828459045235360287471352・・・、フナ 一箸二箸 一箸二箸 しごくおしい、と憶える)に収束していきます。この極限値を、e と定義します。(この e は、円周率π のように 無理数であり、超越数でもあります。)

  収束する極限を持つ数列は 他にもさまざまなものがありますが、この e が いかに特別なものであるかを見ていきましょう。



  (2) 繰り返し微分しても変わらない関数:


  微分とは、関数 (x) の変化率の関数(=導関数)のことを言います。導関数の定義は、
      で与えられます。
  これは、 x の値を ほんの少し h だけ変えてやると、(x) がどのくらい変わるか、という意味です。 図形で表現するならば、 y = f(x) の曲線に対して、その x のときの接点の 勾配になります。

  ここで、何度微分しても変わらない
                    (x) =  ’(x) = ’’(x) = ・・・・  
となるような 関数 (x) =  を考えましょう。
  この 何度微分しても変わらないことは、  (x) =  ’(x)    が示されれば十分です。

  導関数の定義より、  ()’ = lim h → 0x+h)/ h
  これを分離して、         =  ・ lim h → 0)/ h
                                * この 分離するところで、定義式の limn→∞ (1+(1/n)) の形の元が出来上がる

  この右辺と左辺を比較して、 ()’ =   となるためには、   でなければならず、これを満たす a を 
  すなわち、   (x) =   とおきます。


  では、この e が どのような形であるかを導きます。 この式を変形すると、
    lim h → 0)/ h = lim h → 0 h 、   lim h → 0  = lim h → 0 (h + 1)
    両辺を lim h → +0 1 / h 乗すると ( lim h → −0 1 / h 乗 でも同じ)、  

  h = 1/n (n > 0 の整数)とおけば、   、 すなわち、e の定義式が導かれ、この e は自然対数の底であることが証明されました。


  したがって、指数関数 は、  = )’ = )’’ = )’’’ = ・・・・  となって、何回微分しても関数の形が変わらない関数であることが分かります。
  (・・・ 他にも証明法はいくつかあります。対数関数を使って導くのが一般的です。)

  また、微分の逆の積分(不定積分、積分定数を省略)も、   = ∫edx = ∫(∫edxdx = ・・・・  となって、何回積分しても形が変わらないことが証明されています。
       ・・・・ ∫ は ”インテグラル”で積分の記号: インテグラ(ホンダ、90年代)は、天皇陛下の愛車です?


  たとえば、電磁波(= 赤外線、、紫外線、X線、ガンマ線などを 含む)の進行は、電場の変化が 直交して 磁場の変化に伝わり、その磁場に変化が 直交して 電場の変化になって伝わる、という伝播を 光の速さで繰り返します。このとき、微分(あるいは 積分)を無限に繰り返していきます。

  
  真空には 電磁誘導の性質があって、初めに 電場の変化があったとすると、 電場の変化 → 磁場の変化 → −側の電場の変化 → −側の磁場の変化 → (元の)電場の変化 → ・・・  というように、4サイクルで変化が伝播していきます。 このような バネの復元力のような性質は2つあって、誘電率 ε0 と 透磁率 μ0 が真空の性質として備えられています。伝播の速さは、√(ε0・μ0) = c (光速) であって、電磁波、X線、γ線などは と同じもの(振動周波数が異なるだけ)であることが証明されています。

    ・・・・・   「この ことばには いのちがあった。この いのちは、人の光であった。」(ヨハネ1:4)



  (3) 自然における永続性:


  さて、長々と高校数学レベルのことを記述してきましたが、この指数関数  (単に指数関数と呼ぶ)は、微分方程式の解になるなど、数学、物理に非常に応用範囲が広く、自然の性質の大部分を記述することができます。

  物理や工学では、それぞれの物理法則に基づいて、それぞれの理論の出発点となる微分方程式が構築されるのが普通で、その解は、大体 指数関数を基本とする形になります。


  たとえば、電気回路の分野で、

  1)  ファラデーの法則、オームの法則をあわせて、 それを直列につないだ回路では、1次微分方程式となり、

                  dV/dt = −V/RC    となり、その解は、変数分離形  dV/V = −dt/RC  の両辺を積分して、
                    ln V = −t/RC + const       ∴   V = V0−t/RC
  電流 i であらわすと、  i = V / R より、                     i = I0−t/RC  ・・・・ @
  これは、時間 t の経過に対する 減衰曲線になります。(↓ 下図 右上)


  2)  ファラデーの法則、ヘンリーの法則、オームの法則をあわせて、 それを直列につないだ回路では、2次微分方程式となり、

                   (電荷解法) 

  これは境界条件によって解が異なります。抵抗Rが無視できる場合(R=0)は、1次の項は消え振動項のみとなり、比較的簡単に解けます。(* Rが0でない場合は、減衰項と振動項の積の形(=減衰振動)になり、解法は複雑です。 → 3.電磁場の直交性
                                      q = Q0 sin(ωt + α0
  電流 i であらわすと、  i = −dq / dt より、       i = −I0 cos(ωt + α0)  ・・・ α0: 位相  ・・・・ A
の形になり、これは周期現象を表す式になっています。
  周期現象なので、その振動の周波数が存在し、       f = ω/2π = 1/(2π√(LC))    ・・・・ B


    

  この @ が、 だらだらと減少する 減衰曲線、  ・・・・  いわば、”死”の曲線:  −x
     A が、 永続的振動を与える 調和振動の曲線  ・・・ いわば、”いのち”の曲線:  iθ
を それぞれ表します。
  すべての振動波形は、sin 曲線(三角関数)の重ね合わせで表現されます。(= フーリエ級数)
  (ただし、実際の回路では、インダクタンス(L)に抵抗成分(R)が含まれるので ”減衰振動”の形になり、”死”と”いのち”が入り混じった構造になっています。)

  前節で述べたとおり、他の物理現象でも同様に分類されます。
     1)  型(のパターン): 熱力学、統計力学、梁のたわみ、砂利の山の形、コンデンサーの充・放電、放射性核の崩壊、・・・
     2)  iθ 型(いのちのパターン): 周期現象、振動・波動、光学、発振、電磁波、量子力学的振動、・・・



  (4) 指数関数の展開と オイラーの恒等式:


  この解に現れる、 sin x、 cos x は、虚数を冪(べき)とする e の指数関数であって、 iθ の形をとり、整式に展開すると、
               
  虚数冪の指数関数は、このように 無限級数に虚数値を代入することで定義されます。
   この式を書き直すと、
                
という、驚くべき関係が出てきます。
  この、知る人ぞ知る、    i π = −1    (オイラーの恒等式)   こそ、思索の3大分野の それぞれの数学定数(幾何学の π、 代数学の i 、 解析学の e )が一点に集まった、数学史上最もエレガントな式になっています。( → 次項 )




  * 名は本質をあらわす:  聖書の人物名にはヘブライ語の意味があります。

      ex) ヨハネ:主は恵み深い、 ペテロ:岩 (← シモン:葦)、 マタイ:主の贈り物、 パウロ(← サウロ、サウル):小さい、 ダニエル:神は審判者、 イザヤ:主は救い、 エレミヤ:主は高める、 エゼキエル:神が強くする、 エノク(ハノク、ハヌカ):捧げ物、 ヨセフ:増加の祝福、 マナセ:忘れる、 ベニヤミン:右手の息子、 モーセ:引き出す、 エリヤ:ヤハウエは神、 ・・・。
  イエス様は、イェホーシュア( イエスース はギリシャ語)、 ホセア:「救い」、 ヨシュア:主は救い、(ホセア→ヨシュア→イェホーシュア(短縮形:イエシュワー)=イエス)
  キリスト(キストス(ギ)) とは、「油注がれた者」(メシヤ、油を注ぐのは旧約時代の「王」を任命するときの儀式、油=聖霊)。
  当時 ”イエス”はありふれた名前だったので 「ナザレのイエス」という呼び方で区別しました。しかし、その本質の呼び名は、イザヤ書で言っています。
            「不思議な助言者、 力ある神、 永遠の父、 平和の君」 (イザヤ9:6)

  ∴  「自然対数の底」 とは、創造の本質を表すので、「イエス様」の新しい名の一つかも知れませんね。(黙示録3:12)

         (参考)      ・ 聖書人名辞典(旧約)       ・ ヘブライ語が起源の名前



                次へ              トップに戻る